著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

シャルケ内田篤人「チームメートを理解するところから」

公開日: 更新日:

 2016年12月8日の欧州リーグ(EL)のザルツブルク戦。後半38分にピッチに送り込まれた内田篤人は、実に1年9カ月ぶりの公式戦出場を果たした。引退危機も囁かれた日本代表右サイドバックの復活は、ハリルホジッチ監督にも前向きに受け止められた。

「内田は素晴らしい。近代フットボールに適した選手で、守れるしクロスもカウンターアタックも得意だ。本格復帰にはあと数カ月かかるだろうが、まずは《自分本来のレベル》に戻し、代表の先発を勝ち取ってほしい」と期待を口にする。指揮官の言葉通り、彼は日本代表に復帰できるのだろうか? (取材・文/サッカージャーナリスト元川悦子)

 ◇  ◇  ◇

「(ザルツブルク戦は)残り時間が少なくなっていったんで、『もう今日はないかな』と思うくらいだった。俺が監督なら代えないな、と。それでも最後10分でも使ってくれた(バインツィール)監督には、凄く感謝してる。やっとスタートラインだね」と試合後の内田は安堵感をのぞかせた。

 とはいえ、その後のリーグ戦ではベンチ外が続き、17年の初戦となった現地21日のインゴルシュタット戦も、メンバー入りはかなわなかった。

 今季のシャルケの布陣は3(DF)―5(MF)-2(FW)がベース。DFシェプフが右サイドの定位置を確保している状態だ。サブの1番手だったDFカイサラが、冬の移籍期間にトルコ1部のイスタンブール・バシャクシェヒルFKに移籍し、ライバルが1人減ったものの、内田を取り巻く状況が厳しいことに変わりはない。

「ザルツブルク戦の出場時間を見ても、監督が俺のことを『まだ分かってないんだろうな』って感じがした。(負傷離脱前の監督)ケラーだったら、間違いなく後半頭から出したはずだから。いずれにしても、まずは俺の体だね。自分が100%の状態でできるようになれば、試合でもやれると思う」と本人は冷静に「今」を客観視している。

■連係をゼロから構築

 シャルケはここ1~2年で、現場もフロントも大きく様変わりした。内田を獲得したスポーツディレクター(SD)のヘルト氏が昨季限りでチームを去り、今季からはマインツの強化担当だったハイデルSDが就任。監督もケラーの後はディ・マッテオ、ブライテンライター、そしてバインツィールと変わっている。

 選手も内田とプレー経験があるのはDFのヘベデス、アオゴくらい。連係をゼロから構築しなければならない状況だ。

「今までなら、ケガから復帰した時点で信頼されているので使ってもらうパターンだったけど、今回はチームメートがどんなプレーをするのか、理解するところからコツコツやっていくしかない」と彼は神妙な面持ちで言う。

 その作業がどのくらいかかるのか? 本格復帰までの第一の関門だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末