ヘント久保裕也<下>「まだまだ先に期待が持てる」
しかし、昨年11月のW杯最終予選サウジアラビア戦(埼スタ)で本田圭佑(ミラン)の定位置の右MFで先発に抜擢されると状況が一変。「世代交代の一番手」と目されるようになった。
「今季前半のヤングボーイズでは、2ケタゴール(カップ戦含む)を決めましたが、スイスでは苦しい時期も長かったですね。そういう時はあまり気にせず、ただトレーニングを一生懸命にやる――ことを常に心掛けました。すべては準備次第です。それはヘントでも日本代表でもそう。僕の場合、ゴールという結果を残さないと記事にならないし、日本の人に気付いてもらえない。とにかく結果を出し続けられるように頑張ります」と彼は淡々としてこう言う。
地に足の着いた立ち居振る舞いは、若い頃からビッグマウスといわれた本田とは対照的だ。もっとも「マイナークラブから成り上がっていく」姿は共通している。
本田も欧州で2番目のCSKAモスクワでブレークしたが、伸び盛りの久保も新天地ベルギーで移籍後、6戦4発と凄まじい飛躍を遂げている。
「先月11日のオイペン戦の時は、自分がパッサーになっている感じで本来の点取り屋からは、かけ離れている印象を持ちました。でも19日のスタンダール戦では、確実にボールを受ける回数が増えて、パスの受けどころも分かってきた。短期間でこれだけ変われるってことは、まだまだ先に期待が持てるってこと。チームにうまくフィットしていって、自分を成長させていきたいです」
長年、チームを牽引してきた本田を超えるべく、久保には代表でも周囲との連動性を高め、傑出した得点能力を発揮できる環境を整えてもらいたい。彼ならば、日本の新たな看板になれるはずだ。
(この項おわり)