甲子園でもあるか 前打者敬遠の勝負に早実・清宮が大困惑
今秋ドラフトの超目玉、早実(東京)の清宮幸太郎(3年)が14日、熊本・RKK招待野球の秀岳館戦に「3番・一塁」で出場。3打数1安打2四球で高校通算94号は出なかった。
“珍事”が起きたのは、早実が4点を追う九回2死走者なしの場面。秀岳館の鍛治舎監督が伝令を出すと、なんと2番・雪山の敬遠を指示。3番・清宮と勝負するという大胆不敵な作戦に、スタンドを埋めた6000人の観客からは、どよめきと拍手が起こった。結局、清宮は一ゴロに倒れ、チームは1-5で敗れた。
鍛治舎監督は清宮勝負の意図をこう説明した。
「夏の甲子園でも当たるかもしれない。(先発した)川端は対戦したけど、(背番号1の)田浦が勝負できていなかった。熊本のファンも生で見るのは初めて。批判されるかもしれないけど、パフォーマンスじゃない」
練習台にされた格好の清宮は「いろいろ感じる部分はあります」と明らかに困惑していた。熊本の高校野球関係者がこう言う。
「関西方面など県外出身選手ばかりで、地元では敵が多い鍛治舎監督が『熊本のファンのため』と言うのもしらじらしい。秀岳館は3季連続で甲子園4強に終わっているだけに、この夏の鍛治舎監督は、悲願の全国制覇のためには手段を選ばないともっぱらです。もし甲子園で早実との対戦が実現したら、かつて明徳義塾が松井秀喜を5敬遠したように、全打席敬遠することだっていとわないでしょう。もしくは、2人のプロ注目左腕に自信を持っているだけに、この日のように2番を敬遠して清宮勝負に出る可能性もある。清宮は本気で全国制覇を狙う強豪校との実力差と不気味さを感じたのではないか」
鍛治舎監督が言うように、この借りは最後の夏の甲子園で返すしかない。