OBの助言とは正反対 NPBは侍J強化を稲葉監督に丸投げ
■名ばかりの強化委員会
しかし、ここまで稲葉ジャパンのコーチ候補として名前が挙がっているのは、日本ハム時代のいわゆる「仲良し」ばかりだ。ヘッドには日本ハム時代の同僚だった金子誠日ハム打撃コーチ、投手コーチはOBの建山義紀氏といった面々だが、建山氏にいたっては指導者経験ゼロ。そりゃ、OBも心配になるが、「いや、気心の知れた人間とやりたい、という稲葉監督の気持ちは分からないではない。監督というのはそもそもそういうもの。問題は、NPBがそれをコントロールできないことですよ」とは、あるセ球団の幹部だ。
日刊ゲンダイは、かねて「侍ジャパンにGM制を導入すべき」と指摘してきた。小久保前監督の退任後、実は複数の球界関係者、OBからも同様の声が上がっていたが、「NPBは早々とGM制の導入を見送ることを決定。だったら、侍ジャパンの長期的なチームづくりを担う強化委員会がそれに代わるのかといったら、それもまったく期待できない」と、前出の球団幹部がこう続けるのだ。
「今回の稲葉監督を決定する過程でも強化委員会が機能したとは言い難かった。プロアマの代表者とOBの計12人の委員を集めながら、小久保前監督退任後の第1回の委員会でいきなり、NPBの事務局の人間が、『監督の人選については、委員長と副委員長の2人に一任して欲しい』と言い出し、候補者や交渉の過程も明らかにしないということになった。なぜ? と聞いた出席者に、強化委員会から次期監督の名前が外部やメディアに漏れては困るから、と言ったものだからみな目が点になったらしい。要するに、強化委員会とは名ばかりで、プロアマの知恵を結集して侍ジャパンを強化するという体制にはなっていないのです。これでは、指揮官が代わるたびにコーチは刷新、強化方針も監督次第ということになってしまう」