4強はすべて複数投手起用 甲子園“エース依存時代”の終焉
13―9で明豊(大分)を下した天理も碓井、輪島、坂根の3投手による継投で勝利。花咲徳栄も同校初のベスト4進出をかけた盛岡大付(岩手)との大一番で、背番号10の綱脇が先発。こちらもプロ注目の背番号1・清水は九回の1イニングに投げただけだった。
夏の甲子園大会は、優勝まで最大で6試合を戦う(記念大会を除く)。過去には、98年大会の横浜・松坂大輔(現ソフトバンク)が6試合で767球、06年大会の早実・斎藤佑樹(現日本ハム)が引き分け再試合を含む7試合で実に948球を投げた。ときにそれが美談として報じられ、彼らのスター性に拍車をかけたが、今春まで3季連続甲子園ベスト4の秀岳館(熊本)を率いた鍛治舎監督は、ノンフィクションライター柳川悠二氏のインタビューに答えてこう言っている。
「一大会で一人の投手が600球も投げるのは、その投手の将来を思ったら避けたほうがいい。私は複数の投手を育て、継投策を採ってきた。今大会は完投する投手が少ないですよね。そういうところは一石を投じた意味があったかな」
高校野球もやっと分業制の時代になった。