前日ヘロヘロ…松山の最終日66でわかったUSGAの狙いと誤算
■主催のUSGA コースセッティングのミス認める
全米オープンを主催する全米ゴルフ協会(USGA)は「当初のセッティングは非常に良かったが、午前と午後とでは風が違った。思った以上にグリーンも乾いてしまった」と、結果的にコースセッティングが誤りだったことを認めた。3日目は最終組がプレーを終えたホールから、即座に散水を始め、最終日もプレー開始前に水をまき、カップも前日よりやさしい位置に切った。風も穏やかで多くの選手は前日に落としたスコアを取り戻すかのようにバーディーラッシュを見せた。ちなみにこの日は15人がアンダーパーを記録した。
散水といえば、前回シネコックヒルズGCで開催した04年大会の時も、USGAが予想した以上の日照りでグリーンが硬く締まり、最終日はプレー中に水をまくという前代未聞の処置をしても28選手が2ケタのオーバーパー。スコアを伸ばした選手は皆無でコースセッティングのミスが批判された。前回大会を現地で取材した吉川英三郎氏(ゴルフライター)は、今大会についてこう語る。
「04年大会より、ボールやクラブが良くなって選手の飛距離は格段に伸びた。当時(6996ヤード)より、コースは約450ヤード伸ばしたが、全米最古のゴルフクラブですから距離延長には限界がある。シネコックヒルズで最もセッティングが難しいメジャー大会を開催すれば、フェスキューのラフを伸ばし、グリーンを難しくするしかない。USGAのセッティング方針は誤りではないと思う。メジャーですから、トッププロが必死にパーを拾う大会があってもいい。ただし、天候を常にチェックしていても風向きや強さをコントロールすることは誰にもできない。ポアナ芝が混じるベントグリーンは特に午前より午後の方が芽が伸びて難しくなる。USGAの3日目の誤算は仕方がないでしょう」
次回、シネコックで全米オープンが開催されるのは2026年。USGAは「2大会連続の失敗」を教訓にできるかが問われる。