生き証人3人が語る 平成5年「ドーハの悲劇」の真実<前編>
六川「実はアジア杯の決勝戦直前に都並さんに怒鳴られてしまいました」
都並「えっ? 僕が(年長者の)六川さんを怒鳴るなんて覚えてないのですが。本当ですか?」
六川「ウルトラスのメンバーから『(応援用の)日の丸の旗にサポーターが寄せ書きをした。優勝したらラモスさんに手渡したい。ぜひ受け取ってほしいと伝えてくれ』と頼まれた。でもラモスさんにお願いするのは気が引け、サポーターの気持ちが一番分かる都並さんならラモスさんに伝えてくれるかな……と思ってお願いしたら『何を言ってるんですか! それどころじゃありません!』と言われてしまいました」
都並「いやぁ~覚えてません(苦笑い)。でも、いくら陽気な僕とはいえ、さすがに試合前は人が変わりますから。ただ、声を荒らげることはなかったですよね。申し訳ありませんでした」
六川「決勝が終わってピッチレベルで撮影していた時、少し離れたところで目が合った瞬間、会釈をしながら右手をひょいっと上げて<すいませんでした>と伝えてくれました。あれから26年が経ってしまいましたが、試合前に無遠慮なお願いでした。改めてすいませんと言わせて下さい」