アテネ日本代表「五輪の素人」が犯した全勝狙いの落とし穴
2004年アテネ五輪に臨んだ僕ら日本代表には、2つの目標がありました。
1つは言わずと知れた「金メダル」。もう1つは「全勝して病床の長嶋監督を勇気づける」ことです。
しかし、この「全勝狙い」は、五輪ではありえなかった。予選リーグの相手はイタリア、オランダ、キューバ、オーストラリア、カナダ、台湾、ギリシャ。これに日本を加えた8カ国が総当たり戦を行い、上位4チームが決勝トーナメントに進出する。
■独特の駆け引き
決勝トーナメントではこの4チームが2つの山に振り分けられ、準決勝が行われます。予選リーグの1位と4位、2位と3位が準決勝を戦い、勝者同士の決勝戦になる。
ここに五輪ならではの駆け引きが生じます。自分たちと相性が悪い、あるいは苦手としているチームと準決勝で当たらないように予選リーグの通過順位を調整すれば、決勝に進める確率は高くなる。つまりひとつでも上の順位を目指すのであれば、全勝を目指す必要性なんてどこにもなかったんです。