ネガティブで粘り強さがなかった石川歩が変わったきっかけ
昨年の契約更改で、ロッテの石川歩が球団にメジャー挑戦したいと訴えました。
実際、どうなるかはわかりませんが、僕は「あの石川がなあ」と感心したのを覚えています。
僕は引退後、オリックスで2012年から14年まで、ロッテでは15年から18年までコーチを務めました。石川と出会ったのは、彼がプロ2年目の時でした。
2年目といっても、僕と同じ東京ガス出身の即戦力投手。1年目の14年は10勝8敗。翌年は先発陣の一角どころか、エース候補として期待されていました。
しかし、性格が淡泊で、自分の考えを口にすることも、ほとんどなかった。例えば先発なら、メディアに「来季の目標は?」と聞かれた場合、「まずは2ケタ勝利を目指します」くらいは言うでしょう。石川はそれすら言わないんです。内に秘めた……というわけでもない。投球も当初はネガティブで粘り強さがなく、しんどいときはマウンド上で表情が変わってしまう。背中でナインを引っ張るタイプでもなかった。
そんな性格が、僕にはもどかしかった。将来は球界を代表する投手になるだけの能力がありながら、性格が足を引っ張ってしまうのではないか。何とかしたかったのですが、石川のようなタイプは尻を叩けば叩くほど、「あー、もういいです」と、なりかねない。最近の30歳前後に多い傾向ですね。