追憶のマラドーナ 「神の手」と「5人抜き」ゴールの思い出
大会初戦の韓国戦は<テコンドーサッカー>と揶揄されるほどの肉弾戦を強いられたが、マラドーナの3アシストから3-1の勝利を収めた。
■現地にいながら世紀のプレーを目撃できず
このメキシコW杯でマラドーナは世界の頂点に立ったが、彼の訃報に際して多くのメディアが紹介したのが、準々決勝イングランド戦の2ゴールだった。サッカー史に残る「神の手ゴール」と「5人抜きゴール」である。実は……この後世に語り継がれる世紀のプレーを、筆者は現場にいながら見ていない。
もちろんアステカ2000スタジアムで居眠りをしていたわけではない。その理由とは……。
前日の6月21日は、準々決勝の第1試合が行われ、取材担当カードは、グループリーグでブラジルが居座っていたグアダラハラ(ハリスコ・スタジアム)でのブラジルーフランス戦だった。
将軍プラティニ率いるフランスがW杯初制覇の悲願を達成するか? それともケガで一度もプレーしていないジーコがピッチに登場するか?