高校サッカー選手権のオフ・ザ・プレーから幾つもの気付き
■フットボールの質以上に人間の質を垣間見た
サッカーとフットサルの「共存共栄」ーー。これが、筆者が掲げる蹴球的研究課題のひとつである。今大会も、フットサルを強化に取り入れた出場校の動向を注視しながら追いかけたのだが、ジャーナリスト的取れ高が芳しくなく、やや期待を裏切られたことは否めない。負けたら終わりの戦い、勝ち負けを最優先したやり方を選んでしまう気持ちも、分からなくはないのだが。
ただ、肯定的な裏切りが起こるのも、現場取材の醍醐味である。現場だからこそ感じられた選手達のオフ・ザ・プレーの立ち居振る舞いから幾つもの気付きがあった。
メディアの人間へも立ち止まって挨拶をしてくれる青森山田の選手たちには、清々しい気持ちにさせられた。凧揚げや鬼ごっこで溢れる、正月感漂う会場前広場で円陣を作り、試合後の反省会を行う堀越の面々の姿からは、妙に力強さを感じさせられた。また、キックオフ前のピッチやスタンドに陣取るチームメイトや保護者らに深々とお辞儀する選手たちからはどんな時も「感謝の念を忘れるべからず」と釘を刺された気がした。