貴景勝が屈した「綱とり」という魔物…5日目ようやく初日
「角界でもメンタルの強さは指折りなんだが……」
ある親方が嘆息する。
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大関貴景勝(24)が14日にようやく1勝。綱とり場所で初日から4連敗というもろさに、好角家からは「重圧に弱すぎる」という声が上がっているが、実際は逆というのだ。
先場所の千秋楽。勝てば優勝という一番で照ノ富士に敗北。しかし、わずか十数分の間に気持ちを切り替えると、優勝決定戦では見違えるような思い切りの良さで、照ノ富士を一気に押し出した。
押し相撲は安定感に欠け、連勝連敗を交互に繰り返すツラ相撲になりがち。貴景勝は切り替えの早さで、自身の相撲の欠点をカバーしていた。
「そんな貴景勝でも『綱とり』にのみ込まれた。綱とり初挑戦で、そのまま昇進した横綱の方が少ない。最近だと、朝青龍とか鶴竜くらいだろう。貴乃花も2年間、高い壁にはね返され続け、白鵬ですら2度目の挑戦でなんとか昇進した。綱とりはやはり特別。初日の敗戦で狂った歯車をなかなか修正できなかったのはその重圧だろう。あの1敗で『もう負けられない』となり、気持ちばかり先行して相撲が雑になっていた。3日目の北勝富士戦では相手との距離が空いたところで、普段なら突き落としにいくはずが、カッとなったのか張り手を繰り出して墓穴を掘ってしまった」(前出の親方)
この日は21歳の新鋭・琴勝峰を押し切れなかったものの、うまく突き落として初日を出した。次回の綱とりへの糧になったと開き直るしかない。