江草仁貴さん引退から4年…介護業界転身もコロナで方向転換

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江草仁貴さん(40歳・阪神、西武、広島で活躍)

 今シーズン、交流戦でオセロ状態となりつつも6月8日現在、セ・リーグ首位を独走中の阪神タイガース。2005年以来、16年ぶりのペナント奪還に、虎ファンの期待は高まる一方だ。前回のリーグ優勝の際、セットアッパー(中継ぎ投手)として大活躍したのが江草仁貴さん(40)。引退したのは西武ライオンズを経て故郷・広島カープでマウンドに上がっていた17年9月だった。あれから4年。セカンドキャリアを直撃した。

  ◇  ◇  ◇

「広島市内で株式会社キアンを起業したのは、引退を公表する2カ月前、17年7月でした。当初、リハビリ型デイサービス事業所の運営がメインでしたが、新型コロナによる利用者減少と高齢者への感染拡大の懸念を考えて、昨年5月に方向転換。今はスポーツイベント企画と講演会、野球コーチ業、そしてオンラインサロンの運営を3本柱に、メディア出演などを行っています」

 現役時代に比べ、ややフックラした感がある江草さん、まずは業務内容をこう説明した。リハビリ型デイサービス事業所は他社へ売却し、今はアドバイザーとしてサポートしている。

「コーチングは、18年3月から大阪の大阪電気通信大硬式野球部の投手総合コーチをやっていまして、自宅がある姫路市(兵庫県)から金・土・日の週3日、出張しています」

 同野球部は部員約60人。就任したのは雇用条件が良かったのもさることながら、「阪神大学野球連盟2部所属で、1部昇格という夢を学生たちと追いたいと思ったから」。

 ただ新型コロナ禍の現在、グラウンドでの練習時間が限られ、全体練習ができないのが悩みの種だ。

「リモートでの練習にチャレンジしたこともありました。でも電波状態がそれぞれ違うことや実戦の感覚をつかむにはかなり厳しい。それで今は各選手に課題を出して自主練習に力を入れています」

 ちなみに本社に出社するのは月・火の2日間。この4月から生まれ故郷・広島県福山市の「FMふくやま」でスタートした冠番組「夢を語れ」(月曜19時30分~20時)の収録も行っている。

「この番組は“視聴者の夢をかなえる”がテーマ。夢をかなえた先達として元カープの黒田博樹さん、バレーボール元全日本女子監督の真鍋政義さん、阪神の元投手・コーチの中西清起さんらをゲストにお呼びして、夢をかなえるコツをお聞きしています」

 オンラインサロン「江草仁貴のスポーツキングダム」は昨年11月に立ち上げ、これから本格的な活動を予定。収益の一部は阪神時代から支援している児童養護施設へ寄付している。

阪神の05年リーグ優勝に貢献

 さて、福山市に生まれた江草さんは、専修大野球部4年の時、東都大学野球連盟1部リーグ昇格の原動力に。02年のドラフト会議では阪神から自由枠制度で指名され、契約金1億円、年俸1500万円(金額は推定)の好条件で入団した。

「1億円の使い道? 約半分が税金に持っていかれ、残りの半分約2500万円はプロになるまでお世話になってきた母校へバッティングマシン、ユニホーム代として寄付。で残った2500万円は両親にプレゼントしました。スポーツカーの一台でも買っていれば話のネタになるのかもしれませんが、僕は基本的に物欲がないんです。アハハハ」

 花が咲いたのは05年。最速151キロの直球にフォーク、ツーシームを織り交ぜて奮闘し、セットアッパーとして51試合に登板。2年ぶり5度目のリーグ優勝に大いに貢献した。

「忘れられないのが、巨人戦に勝って優勝を決めた9月29日の祝勝会。あの時のビールかけほどうれしくて楽しかったことはありません。ただ、翌日のヤクルト戦がキツかった。二日酔いも二日酔い。メロメロのまんま4対3でリードしてる場面に登板したら、ボコボコに打ち込まれて5失点。敗戦投手でした(笑い)」

 最後に好調の阪神と逆風にさらされている広島、それぞれの課題を聞いた。

「阪神が気を付けることは中継ぎ陣の疲労ですね。勝ってるというのは、それだけ勝ちパターンの中継ぎ陣が投げてるということなので、先発が長く投げることができれば負担が減ると思います」

「広島は、長距離を打てるバッターの台頭と、抑え以外の投手の奮起だと思います。バッターが楽に点を取れるようになれば、ピッチャーも安定して投げることができるのではないでしょうか」

(取材・文=高鍬真之)

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