阪神の元スター今岡誠は「名脇役」2010年の日本一の支えに
■選手の兄貴分として心配り
選手の「兄貴分」として、控え選手のケアにも心を配ってくれた。私は控えメンバーのモチベーション向上を重視した。ベンチ入りする全員が戦力であり、いくらレギュラーが頑張っても、控え選手が機能しなければ勝つことはできない。その一方で、控え選手の気持ちを切らさないようにするのは難しい。いくら出番に向けて準備をしても、試合に出られなければモチベーションを維持しづらくなるからだ。
私も現役晩年は控えを経験した。五回あたりになると、そろそろかなと思いながらストレッチをし、バットを振って気持ちを高めていく。試合で結果が出ないことよりも、出番がない日の方が精神的につらく、モヤモヤを抱えながら帰宅したことが何度もあった。
私は選手との食事の席で私の現役時代の話をしたり、「おいおい、酒をつぎすぎだろ」などと冗談を言いながら、コミュニケーションを図った。コーチやスタッフを呼ばなかったのは、選手もその方がいろいろ話をしやすいと考えたからだ。その中で、控えのメンバーにはこんな話をした。