レギュラーに定着したと思ったら、担当の若手とポジションの重なる即戦力を上位指名されてキレた
「いくらなんでもアレはないでしょう! まったく、冗談じゃありませんよ!」
ドラフト会議が終わった瞬間、思わず部長にかみついた。「アレ」とはウチの上位指名のことだ。
今年のドラフトにはオレなりのもくろみがあった。担当した若手選手がレギュラーに定着した。なので、もうひとりくらい面白そうな若手を発掘して、そいつが芽を出そうものなら球団内でのオレに対する評価も、劇的に変わるんじゃないかと思ったんだ。
そんな思惑から、レギュラーに定着した若手とはポジションの重ならない有望な選手をわざわざ見つけてきてスカウト会議で強力にプッシュしたものの、反応はイマイチ。木のバットじゃ苦労するとか、上位指名の器じゃないなんてことまで言い出すのがいる始末。今年はおとなしくしてるしかないと諦めてたら、よりによってレギュラーをつかんだ若手と同じポジションの即戦力を上位で獲得したからさすがにキレたね。
「せっかく若いのが出てきたのに、なんだってポジションの重なる選手を、しかも上位で取ったりするんスか! オレへの嫌がらせですか?」