これがMLB労使交渉の実態…超高給取りと超金満球団のケンカだったバカバカしさ
選手にしても同様。メジャー最低年俸(昨年は57万500ドル=約6600万円)や、実績に乏しい若手選手がいくら集まっても、この限度額には届かない。影響を受けるのはほんの一握りの超高給取り選手なのだ。
最後まで交渉締結に反対していた球団、選手の顔ぶれを見れば、今回の対立の本質がわかる。球団はヤンキース、メッツの金満球団を筆頭に、資金力豊富なアストロズとカージナルスの4球団。
選手は交渉に参加していた選手会の執行役員の8人が反対票を投じたとされており、その代表格がマックス・シャーザー(37=メッツ)だ。昨年12月にメッツと3年総額1億3000万ドル(約150億円)で契約。1年当たり50億円だとすれば、メジャー史上最高年俸。同じく反対していたゲリット・コール(31=ヤンキース)も、20年から9年総額3億2400万ドル(約375億円)を結んでいる。他の6人もフランシスコ・リンドーア(メッツ、年俸約37億円)、ザック・ブリットン(ヤンキース、年俸約16億円)ら億万長者が多い。しかも、この8人全員が上記4球団に所属している。
労使交渉では最低保障年俸の引き上げなども決まったが、あくまで交渉のメインとなっていたのはぜいたく税。金持ちの中の金持ちによる超金持ちのためのケンカに翻弄された球団、選手、そしてファンの心境はいかばかりか……。