ウィンブルドンを沸かせた“天才不良少年”キリオスと、“国境なき”リバキナが示した新時代
たとえば、女子決勝が意外な顔合わせだった。チュニジア出身のジャバーが勝てばアフリカ勢、アラブ系では初の快挙だったが、カザフスタン籍のリバキナが逆転で初優勝した。今年、大会はロシアのウクライナ侵攻に強硬姿勢のジョンソン政権下、ロシアとベラルーシの選手を排除した。リバキナはロシアで生まれ育ち、居住地はいまもモスクワ──19歳で、経済支援を申し出たカザフスタンに国籍を移した、大坂なおみと同じケースだ。カザフが育てたわけでもない。ロシアが育てたわけでもない。選手が頑張ったのだ。
世界は国境も既成概念も吹っ飛ばし、ずっと身近になった。大会中にジョンソン首相は辞任を表明した。政治が何をしようと関係ない。スポーツくらい放っておけということである。