ロッテ吉井新監督はなにも心配はいらない 時の上司とやりあってきた経験が必ず生きる
その後、メジャーでも投げた彼は、引退後に日本ハム、ソフトバンク、ロッテで投手コーチを歴任。時の監督と衝突することもあったろうが、それは投手コーチとしての仕事をまっとうしたからこそだ。1年間のシーズンをトータルで考えながら、目先の1勝より、選手の将来、チームの将来も考えて、「ここは我慢です」と監督に進言できる。だからぶつかることもあるわけで、ただのイエスマンならいる意味はない。ひいき目なしに、いい指導者だと思う。
■投手視点の攻撃采配
初の監督業だが、なにも心配はいらない。コーチ、選手として、これまで多くの監督に仕えてきた中で、自分がやられてイヤだったこと、それは違うだろうと思ったこと──それを私は「べからず集」と呼んでいるが、それを守ればいい。人一倍の経験と修羅場をくぐってきた彼は、それだけ分厚い「べからず集」を持っているはずである。
攻撃に関しては門外漢という周囲の不安もあろうが、現役時代からいかにして打者を抑えるかを考えてきた投手としての視点は、攻撃の采配にこそ生きる。98年に初めて横浜で監督になった私が、攻撃において送りバントのサインをほとんど出さなかったのも、投手の視点からだ。