新コーチ人事も新庄監督の意向受け入れ…日本ハム「ドラフトと育成」の2本柱は風前の灯火

公開日: 更新日:

 これでは「お友達内閣」ではないか。

 日本ハムは24日、森本稀哲外野守備走塁コーチ(41)、建山義紀投手コーチ(46)、八木裕打撃コーチ(57)の就任を発表した。森本、建山両コーチは2006年、新庄剛志監督(50)とともに日本ハムを日本一に牽引したメンバー。八木コーチにしても新庄監督の阪神時代の先輩で、92年は一緒に外野を守った仲だ。

 新庄監督は春のキャンプ最終日、コーチ陣に対して、こんなふうにボヤいていた。

「オレが求めることを、しっかり(履行してほしい)。その場で(自分が)言って、選手とやるんだけど、次の日は(選手が)それをやっていない……」

 つまり、コーチに求めているのは自分の意図をくみ取り、自分の手足のように動いてもらうことらしい。今回の“組閣”は「来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指して、ブレずに頑張っていきます」と鼻息を荒らげる新庄監督の希望を球団が受け入れた格好だ。監督に人事権がほとんどなく、フロント主導が常の球団としては極めて異例のことだ。

■「わがままを言わせてもらいました」

 “組閣”だけではなくドラフトにも新庄監督の意向が反映されている。シーズン中から「即戦力が欲しい」と盛んに言い続け、今年のドラフトは育成を含めた指名選手10人のうち、8人が大卒、社会人らだった。新庄監督は「いいドラフトだったと思います。来年、勝負をかけている年なので、すぐに戦力になる選手を取りたいとわがままを言わせてもらいました」とご満悦の様子だ。

 これまで日本ハムはフロント主導によりドラフトと育成の2本柱でチームを強化してきた。才能ある若手を二軍の実戦で“促成栽培”。いち早く戦力にして一軍で起用する。ポジションがなければ、力がピークに達しつつある中堅やベテランを放出してでも席をあける。そうやってチームの活発な新陳代謝を繰り返すことで06年からの11年間で、リーグ優勝5回、Aクラス9回とコンスタントに勝ってきた。

 ここ数年の低迷は、独自のシステムが機能していない、つまり素質ある選手の獲得か、育成法のどちらかに瑕疵があるのだろうが、新庄監督の介入によって、いよいよフロント主導のシステムは機能しなくなりそうなのだ。

 新庄監督の要望を受け入れることで、仮に来季勝てたとしても、ドラフトと育成のサイクルが機能しなければ長続きしない。ドラフトでかき集めた「即戦力」の看板に偽りがあるようなら、それこそチームの行く末は絶望的だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 4
    芸能事務所の社長には「三浦友和のNGみたいな子はいらないのよ」と言われた

    芸能事務所の社長には「三浦友和のNGみたいな子はいらないのよ」と言われた会員限定記事

  5. 5
    巨人・坂本勇人「一塁手で一軍復帰」に現実味…本人、チームともメリット盛りだくさん

    巨人・坂本勇人「一塁手で一軍復帰」に現実味…本人、チームともメリット盛りだくさん

  1. 6
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  2. 7
    女優・沢田雅美さん「渡鬼」降板報道の真相で「本が一冊書けてしまうかな(笑)」

    女優・沢田雅美さん「渡鬼」降板報道の真相で「本が一冊書けてしまうかな(笑)」

  3. 8
    “もうひとつの首都決戦”都議補選「自民」は負け越し必至…「都ファ」は4候補が全員討ち死に危機

    “もうひとつの首都決戦”都議補選「自民」は負け越し必至…「都ファ」は4候補が全員討ち死に危機

  4. 9
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  5. 10
    ヒデとロザンナ(6)8歳年上の東洋人にロザンナは「やばい、運命の人だわ」と直感し…

    ヒデとロザンナ(6)8歳年上の東洋人にロザンナは「やばい、運命の人だわ」と直感し…会員限定記事