阪神・村上頌樹は矢野前監督最大の「置き土産」だ! “虎の村神様”爆誕までの紆余曲折

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村上頌樹(阪神・3年目・投手・24歳)

 虎の新星・村上頌樹(24)が、60年ぶりの快挙を達成した。

 9日のヤクルト戦に先発し、六回までゼロ行進。開幕から続けていた連続無失点記録を31イニングとし、1963年に同じ阪神の中井悦雄がマークしたセ・リーグ記録に並んだ。直後の七回にサンタナからソロ本塁打を浴びて新記録こそ逃したものの、7回1失点の好投で規定投球回数に到達、防御率を0.28として堂々とリーグのトップに躍り出た。

 この日のMAXは147キロ。直球のアベレージは144キロで、150キロ超の剛速球があるわけではない。それでも、7回で8奪三振。球速表示以上のスピードを感じさせる真っすぐと、今季32イニングでわずかに2四球という抜群の制球力を武器に、昨年まで一軍未勝利の大卒3年目右腕がライバル球団の打者を手玉に取っているのだ。

■320勝投手と火の玉ストッパーを彷彿させる

「古株のOBが『キレのある真っすぐと内外角の低めに投げ分けるコントロールは小山正明さんを彷彿とさせる』と通算320勝の大投手を引き合いに出せば、中堅のOBは『糸を引くような伸びのあるストレートは藤川球児級』と火の玉ストレートの守護神になぞらえて絶賛。阪神が誇るレジェンドと比較されるだけでも立派なものですが、実際、村上のストレートの回転数は1分間換算で2500回転とも2600回転とも言われている。日本球界でもトップクラスで、しかもそれが“真っスラ”となって横に滑りながら伸びる。魔球と言っていい。阪神は雨天中止が続いたこともあり、先発ローテを再編しましたが、岡田監督は大事なカードの頭となる火曜日の先発に村上を配置した。柱となるはずの青柳、西勇が不振をかこつ中、『村上は自分で結果を残して、自分でそういう地位をつかんだ。たいしたもんよ、そら』と手放しでホメ上げ、今やエースの扱い。関西マスコミも『虎の村神様や』と大盛り上がりです」(在阪マスコミ関係者)

 ここで、ざっと“虎の村神様”の球歴を振り返っておくと、兵庫県・淡路島の出身で高校は奈良の名門・智弁学園に野球留学。1年夏からベンチ入りし、2度目の甲子園出場となった3年春の2016年センバツでは全5試合をひとりで投げ抜き、同校初の甲子園優勝の立役者となった。47イニングで防御率0.38という驚異的な数字を引っ提げて進学した東都の強豪・東洋大でも、エースとなった3年春に6勝無敗、防御率0.77の圧倒的成績で同大の春季リーグ4連覇に貢献。ドラフト上位指名が確実視される中、1年後の20年ドラフトでの阪神の指名順位は5位だった。

 東洋大の杉本泰彦前監督(現徳島・海部高校監督)がこう言う。

「これは、私も申し訳ないと思っています。村上に頼り過ぎた結果、ドラフト前の秋のリーグ戦で右前腕を肉離れし、戦線離脱を余儀なくされたのです。これで、プロのスカウトの方が(村上の指名を)回避されたのだと思う。私自身もプロに行くにしても、社会人に進んでからと考えていました。そんな中、当時の阪神の矢野監督だけが、本当にダメなのか? ケガでもなんとかならないのか? と最後まで村上の存在を追ってくれていたそうなのです。どこかで村上の投球を見てくれていたようで、本当に矢野監督には感謝しないといけません」

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