28年ロス五輪「野球・ソフト」復活…MLB“手のひら返し”で主力派遣の裏に巨額のTVマネー
■米放送局NBCの意向も
それが、手のひらを返して協力姿勢を打ち出したのは、背に腹は代えられない事情を抱えているからだ。
大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。
「2032年まで五輪の放映権を持つ米放送局NBCの意向もあるのでしょう。NBCは過去にMLBと放映権料を巡って交渉が決裂して以来、メジャーリーグを中継してこなかったが、昨年、全米中継権を獲得した。トッププロを派遣しない野球競技は米国内で視聴率を稼げなかっただけに、NBCとしては現役メジャーリーガーを出場させることで目玉コンテンツのひとつになると判断したのでしょう。MLBサイドにしても世界中に中継される五輪を利用したい事情がある。レギュラーシーズンを中断してでも主力選手を派遣することは十分にメリットがあるとソロバンをはじいたのではないか」
米国内での大リーグ人気は頭打ちだ。今季はピッチクロック(投球間隔制限)の導入により試合時間の短縮につながったこともあり観客動員数こそ増加。17年以来6年ぶりに7000万人の大台を突破したとはいえ、テレビ中継の視聴者数は年々、右肩下がりの状態が続いている。米国内の野球人気の低迷に危機感を抱いたMLBは昨年の労使交渉で、欧州や中南米、アジアで公式戦を開催することで選手会と合意。26年までの5年間でロンドンやパリ、メキシコシティー、東京などで海外公式戦を実施し、国際市場の拡大を狙っている。