アジア杯現地取材 優勝候補の日韓、苦戦した中東勢…アジアのレベルアップを実感している

公開日: 更新日:

女性と子供激増、サポーターの熱狂的な後押し

 1月12日にカタールで開幕したアジア杯は、25日にグループリーグの全日程を終え、28日からは決勝トーナメントに入った。

 グループリーグを勝ち上がった16か国の内訳は、中東勢が最多の9カ国、極東から日本と韓国の2カ国、東南アジアが石井正忠監督率いるタイと初の16強入りを果たしたインドネシアの2カ国、中央アジアがウズベキスタンとタジキスタンの2カ国、そしてオセアニアのオーストラリアだ。

 このことからも分かるように、グループリーグで脱落した中東勢はレバノンとオマーンの2カ国だけ。いかにアラビア半島を中心とした中東勢が今大会では主役を演じているか、これだけでも十分に理解できるだろう。

 その原動力は――。

 現地を取材していて実感するのは、カタールやイラン、サウジアラビアやイラクなど、もともと実力があることに加え、サポーターの熱狂的な後押しが挙げられるだろ。

 かつての中東勢との対戦を振り返るとイランのアザディ・スタジアムでの試合をのぞき、スタンドが満員になった記憶はない。

 民族衣装であるトーブを着た男性とその子供たちが三々五々集まり、スタンドに陣取っても空席の方が目立ったものだ。

 あくまで日本人の感覚だが、やる気が削がれるような独特のスローモーな音楽が流れ、試合後のスタンドにはひまわりのタネを食べた後に捨てられた殻が散らばっているという印象だった。

 ところが、今大会は子供連れを含めた女性の観客が「信じられない」と言いたくなるほど増えた。 中東勢同士の対戦以外にも韓国やタイ、インドネシアやキルギスとの試合でも、スタンドから女性の声援が響いてくる。 自国の代表のユニホームを着て、国旗を肩にまとい、タオルマフラーを振り回すのは当たり前の光景。ファイス・ペインティングを楽しんでいる女性と子供も多かった。

 そういえば2002年の日韓共催W杯でも、フェイス・ペインティングが大流行したものだ。そんなことを思い出しながら現地の関係者に聞いたところ、すべては2022年のカタールW杯で変わったという。

 それも開催国のカタールのみならず、中東諸国の観戦スタイルから応援スタイルまでガラッと変わったというのだから、改めてW杯の影響力の大きさを感じずにはいられない。

 日本がグループステージで1ー2で敗れたイラク戦は、試合開始からイラクが猛攻を仕掛けてきた。そのことについて森保一監督は「イラク戦はアウェーをメチャクチャ感じました。乗せたらいけないと。スタンドのサポーターも大きな力になっている。本当にアウェーでした」と振り返った。

 こうした目に見えないサポーターの圧力も、中東勢躍進の原動力になっているのだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動