足で稼いだ情報の積み重ねが逸材を引き寄せる 数字やデータだけでは分からない情報が武器だった
「スカウトの仕事は、その1年の選手を見ることだけではありません。来年、再来年と先を見据えて選手を見ておかないといけません」
鈴木が担当した選手には28年間のスカウト人生が詰まっている。清原和博のような突出した選手はともかく、10年前、20年前の出会いが選手発掘につながることもある。
「中学生を見に行ったのは僕が初めてだと思う」と話す鈴木が中学時代から目をつけていたのは、兵庫・育英高から2001年ドラフト4巡目で指名、40歳を迎えた今も現役でプレーする栗山巧だ。
鈴木は以前から栗山が所属していた神戸ドラゴンズにときどき足を運び、子供たちに指導していた。
「神戸ドラゴンズは阪神に1992年1位で入った投手の安達智次郎がOBで、安達の親父さんがチームに携わっていた時期があった。僕は親父さんをよく知っていたからその縁もあって神戸ドラゴンズに顔を出すようになったんです。それで偶然、栗山と出会って。1学年下の坂口智隆(近鉄=02年ドラフト1巡目)も凄かったです。3番坂口、4番栗山。2人が中軸を打ったんですよ」