28年ロス五輪へのメジャーリーガー派遣を実現させる「大谷」という内圧、NFLという外圧
米メディアが「大谷の話を聞け!」とコミッショナー批判
この発言を受けてドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は16日、「マンフレッドよ、大谷の話を聞け!」と題した記事を掲載。記事では球宴よりも五輪を優先すべきだとし、「大谷は(4年後の)ドジャースタジアムで、五輪の金メダルを懸けて、打席やマウンドに立つ未来を思い描いている。なぜMLBのマンフレッド・コミッショナーは(彼らの出場を)認めないのか」と五輪に非協力的な姿勢を批判。さらに「野球界が五輪の舞台で最高の選手を披露すれば、恩恵を受けるだろう。この宣伝は野球界の将来にとって極めて重要だ」と訴えたのだ。
今やMLBに莫大な利益をもたらす大谷の発言力、影響力は絶大。コミッショナーもさすがに大谷の要望を無視できなかったのではないか。
■ライバルは全面協力
さらに、大谷らメジャーリーガーの五輪出場の鍵を握るのが、米プロフットボールリーグNFLという「外圧」だ。
ロス五輪では「野球・ソフトボール」などとともに、アメリカンフットボールを源流とする「フラッグフットボール」が実施される。アメフトとはルールもプレースタイルも異なるとはいえ、競技の世界的な普及に向けてNFLが全面的に協力。多くの現役選手もNFLの方針に賛同しており、大谷が昨オフ、プロスポーツ史上最高の「10年総額1000億円超」の巨額契約を結ぶまで、北米プロスポーツ史上最高額(10年730億円)だったチーフスのQBマホームズらのスーパースターがロス五輪に出場する意向を明らかにしている。
年々、観客動員数、視聴率とも頭打ちの野球とは対照的に、NFLの人気は堅調。今年2月のスーパーボウルの総視聴者数は史上最高の1億2340万人を記録した。
内圧、外圧の2つのプレッシャーにさらされるマンフレッド・コミッショナーがこのまま「五輪無視」を貫くことができるのか。希代のスター選手である大谷の意向が、MLBの消極的な姿勢に風穴をあける可能性が出てきた。