女子マラソンで2時間10分切り…日本は記録を追うより五輪一本に的を絞るしかない
2時間20分を切ったランナーは歴代83人いて、エチオピアが36、ケニアが23……。チェプンゲティッチは、名古屋ウィメンズマラソンの優勝賞金が世界最高の25万ドルに跳ね上がった22、23年に来日して連覇し、賞金が15万ドルに戻った今年、姿はなかった。ジョガーはいないとさえいわれるアフリカの賞金プロと、マラソンに特異な伝統を持つ日本の環境を考えた時、一緒になって記録を追うのが賢明とは思えない。
確かに厚底シューズによって日本の記録も伸びた。ただ、厚底開発は、そもそもが爪先走法であるアフリカ勢の活動域を広げ、選手寿命も延ばしている。日本は、4年に一度、暑くペースメーカーも賞金もない、持久力勝負のオリンピック一本に的を絞るしかない。東京大会では一山麻緒(8位=2時間30分13秒)、パリでは鈴木優花(6位=2時間24分2秒)が入賞した実績をどう生かすのか。
記録狙いの平坦コースを排し、時期も五輪仕様に切り替えるなど、思い切った方針転換に踏み切る時期だ。代表選考会のMGCを統括する日本陸連が、路傍で思案投げ首、袖手傍観ではせっかくの伝統もしぼんでいく。