「草魚バスターズ」真板昭夫
<「朽ち果てた史跡の池を蘇らせた13年間の格闘の記録です」>
京都市右京区にある大覚寺の大沢池に今年、3500本もの美しい蓮の花が咲き誇った。その風景はさながら極楽浄土のようであったというが、かつてこの池は腐敗して異臭を放ち、誰にも見向きもされないありさまだったという。
「私が京都嵯峨芸術大学に赴任した年、大覚寺の執行長であり大学の理事長でもある坂口博翁氏に、こう言われたんです。“水草除去のために『ソウギョ』を入れたが、わずか2年で水草を食い尽くし、今では周囲の木杭も食べ始めている。何とか昔の池の風景を取り戻してもらえないか”。ソウギョさえ捕らえれば済むことと、気安く引き受けたのですが、まさか、その先13年も池と格闘することになるとは夢にも思いませんでした(笑い)」
本書は、自然文化遺産維持の実践例であり、生態系と外来種に関する問題提起の書でもある。ちなみにソウギョとは、中国原産のコイ科の大型淡水魚で、漢字で草魚と書くように草食性だ。著者は学生らと「草魚バスターズ」を結成し、対処に当たるのだが……。