「シャープ『液晶敗戦』の教訓」中田行彦著
10年前、「世界の亀山モデル」として一世を風靡したシャープの液晶テレビ。しかしこの成功体験がアダとなり、堺工場への巨額投資がつまずきの石となる。著者はシャープの液晶技術の最前線を率いてきた元技術者。 液晶技術部門のトップを務めながらシャープ絶頂の04年に「技術経営」の専門家として大学教授へと転身。見ようによっては“うまく逃げおおせた”ともいえる立場だが、本書では「当事者にして観察者」という独自の立場からシャープ痛恨の失敗例を分析。日本企業得意の「すり合わせ」をいかにグローバル化するかを説いた終章が面白い。(実務教育出版 1500円+税)