時代劇の中にタイムスリップしよう編

公開日: 更新日:

「悪道―五右衛門の復讐」森村誠一

 森村誠一が描く悪道シリーズの最新作「悪道―五右衛門の復讐」(講談社 1700円+税)に登場する江戸の悪党どもは、いまどきはやりのサイバーテロの犯人のような無味無臭の透明人間ではなく、体臭がにおい立つような濃い人物ばかりである。

 主役は将軍を護衛する伊賀忍者の末裔、流英次郎とその一統。だが彼らが守るのは、実は急逝した将軍の代役に据えられた影将軍だ。

 ある日、その影将軍の、うなぎのかば焼きを食べたい(!)という、たっての願いで、市中のお忍びに同行したとき、面妖な事件に遭遇する。

 武士の世界というのはけっこうシビアである。時代劇では浪人が貧乏長屋で傘張りをする場面などが出てくるが、傘張りどころか、大道芸人となって糊口をしのぐ者もいた。主家のお取り潰しなどで禄を失ったとたんにホームレスに近い存在になってしまうのだ。

 そういう浪人の一人、ひと打ち10文で自分の体を叩かせていた叩かれ屋が、一見、商店の手代風の男に首をはねられた。混乱に乗じて姿を消した手代風の男は、役者の生島半六に似ていたという。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方