「孤高 国語学者 大野晋の生涯」川村二郎著

公開日: 更新日:

 日本語の研究を通して、「日本人とは何か」と問い続けた国語学者、大野晋の生涯を描く評伝。

 大正8年、東京・深川の砂糖問屋に生まれた大野は、書画骨董に夢中だった父親が掛け軸を「カケジ」と呼ぶその言い方が、長じても耳に残っていたというほど、幼いころから言葉に鋭敏な感覚を持っていた。一高進学後、「日本とは何か」という問いの答えを「万葉集」に求める中、江戸時代の学者・契沖の書物に衝撃を受け、学問の素晴らしさに開眼。辞典の編纂や名著「日本語練習帳」の執筆に飽き足らず、還暦を過ぎてから「日本語の起源はタミル語である」との研究成果を発表し、論争を巻き起こす。その終わりなき学者魂を描きながら、日本語の奥深さをも伝える。(集英社 740円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 3

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  4. 4

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 5

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ