日本人女性の労働力参加率はすでに欧米並み
CIAや国防総省など16の情報機関のデータを統括しているのが、米国最高情報機関である国家情報会議(NIC)。NICによる国家情報評価は、大統領の指針ともなるものだ。
マシュー・バロウズ著、藤原朝子訳「シフト」(ダイヤモンド社2000円+税)は、NICのトップ分析官として28年にわたり活動してきた人物による初の著書。政治や経済、軍事など多岐にわたる分野に着目しながら、今後20年間に世界がどのようにシフトするのかを分析している。
本書では日本の未来についても言及しているが、それは厳しい内容だ。中国との差が拡大し、今後は“中の上”程度のパワーは維持できる可能性があるものの、大規模な構造改革を実行できれば、という条件が付くとしている。少子高齢化で労働人口の減少が顕著になるため、海外からの出稼ぎ労働者に対する長期滞在ビザの発行など、新しい移民政策が不可欠になる。しかし、日本人は外国人の受け入れに消極的な国民性を持つため、この問題はそう簡単には解決できない。
安倍政権は盛んに女性の社会進出推進を叫んでいるが、実は日本の女性の労働力参加率は決して低くなく、現在の61%という数字はアメリカ(62%)やイギリス(66%)と大差ない。英フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフ主任経済論説委員も、日本人女性の労働力参加率が欧米と同水準まで上昇しても、「経済の見通しが変わるわけではない」と指摘しているという。