(117)一瞥しただけで紙片を破り捨て
ピリピリピリ。蔦重は無情にも一瞥しただけで、黙って紙片を破り捨てた。
恨めしそうな能楽師、つい先日までなら血相を変えるところだったが……。今ではその気概も失せたのか。
いや違う。腸は煮えくり返っている。だが憎っくき蔦重にも、ひとつだけ納得できる部分がある。
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