「美術館の舞台裏」高橋明也著
美術館の現役館長が、美術館やそこで行われる展覧会の仕事の実際を案内するエッセー。
現代的美術館の始まりは、1793年オープンのパリ・ルーブル美術館だという。一方、日本では明治以前まで「美術」という概念もなく、戦前まで3つの国立博物館が存在するだけだった。そうした歴史を踏まえた上で、新聞社や放送局などのマスコミが主導する日本独自の展覧会スタイルの背景や、学芸員(キュレーター)という仕事の内実や展覧会開催までの舞台裏など。実際に著者が携わった「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 光と闇の世界」展などを例に、押し寄せる商業化とグローバル化の波で変わりつつある知られざる美術館の世界を紹介する。(筑摩書房 780円+税)