テロと紛争のいま 世界各地で頻発し始めたテロとどう向き合うか

公開日: 更新日:

「パリ同時テロ事件を考える」白水社編集部編

 年初の「シャルリー・エブド」編集部襲撃に始まり、11月13日の「パリ同時多発テロ」に終わった昨年は、まさにフランス版「9.11」の年だった。

 仏語・仏文学専門雑誌の特別編集号として出た本書によれば、米国の「9.11」が突然の襲撃なのに対して、「11.13」は既にフランスが米軍と共にシリア空爆に参加していた点が違う。つまり今回は「交戦相手」へのテロ攻撃というわけだ。

 思えば対テロ戦争は今年で既に15年目に突入しているのである。その間、イスラム原理主義を核としたテロ集団は、確認できるだけでも30近くに上る。こうなるといかに為政者が「テロの根絶」を叫んでも、テロ集団をすべて消去するのは不可能だ。現に本書に寄稿した欧州比較政治の専門家は、テロに勝利することはあり得ないとまで言うのだ。テロと共存する日常が21世紀ということか。(白水社 925円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」