「堕ちられない『私』」香山リカ著

公開日: 更新日:

 精神科医である著者の診療室に救いを求めてやってくる人たちには、共通して「決定的に欠けているもの」があるという。それは「堕ちる力」だそうだ。上昇志向を絶対的な善とする世の中の価値観が強大化し、自分を叱咤激励し続けた結果、ついに壊れてしまった人たちだ。彼らは、「何もしない、何も考えない」「ダラダラ、グズグズして過ごす」のがとっても苦手。しかし、人は上昇するよりも堕ちることで、人間らしい生き方を回復できると著者は説く。

「停滞これ即、衰退」と仕事を持ちながら夜間の大学院に通い、土日は資格試験の学校にも通う自己啓発が趣味の女性ら、患者のエピソードを紹介しながらつづる「新・堕落論」。(文藝春秋 750円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末