「シニア左翼とは何か」小林哲夫氏
一貫組が2割、復活組3割、ご意見番組1割で、初参加組が4割で一番多いと見立てている。意外なのは、復活組の意見だったという。
「かつての自分たちのように機動隊や警察にぶつかるべき、生ぬるい、とシールズに批判的だと想像していましたが、『俺たちがなぜ負けたのか、シールズを見てよくわかった』と反省する人がほとんどです。組織動員ではなく、個人として参加するスタイルも、新鮮に映ったようですね。シニアたちを引きつけたのが、シールズの大きな功績です」
とはいえ、「おまわりさんにお礼を言いましょう」というシールズに賛成できないのも熱きシニアの特徴だ。火炎瓶を投げなかったのは、運動に水を差すという冷静な判断力だけでなく、体力の衰えもあるのだろう。
警察が極左暴力集団と呼ぶ新左翼党派にも取材した。
「誰も触れようとしませんし、若い人は存在すら知らないでしょうが、彼らの内ゲバは、社会運動から人々を遠ざけた一因です。僕らの世代も今の30代、40代も、普通にデモに行くという感覚を持ち合わせていなかった。でも、納得できないことに意思表示するのは当たり前の権利で、デモは何ら悪いことではありません。そのことも伝わってほしいです」(朝日新聞出版 780円+税)