「アンダーグラウンド・マーケット」藤井太洋著
五輪を2年後に控えた2018年の東京では、1000万を超えた移民が決済手段に用いるデジタル通貨「N(エヌ)円」によって地下経済が誕生。就職に失敗して、地下経済で生きる巧は、N円の決済機能を個人店舗のサイトやレジに組み込み、表と地下の経済を結びつけるウェブデザイナーとして糊口をしのいでいる。ある日、巧と仲間の鎌田は竹下通りに店を構えるショップ「ヒステリア・ウィドウ」の公式サイトの仕事を受注。稼働から1週間後、巧はシステムの不具合に気づき、青ざめる。このままでは数時間後に店が不渡りを出してしまうからだ。(「ヒステリアン・ケース」)
近未来を舞台にした連作サスペンス集。(朝日新聞出版 670円+税)