「11歳からの正しく怖がるインターネット」小木曽健氏

公開日: 更新日:

 SNSで炎上、個人情報が流出、アカウントが乗っ取られた……などネット上のトラブルはよく聞く話だ。

 本書は「11歳から」と銘打っているが、決して子供向けというわけではない。安全にネットを楽しむための正しい情報を伝えるべく、全国で講演活動を行っている著者が言う。

「僕の活動は11歳以上の全年齢が対象なんです。伝え方は違えど、内容は子供も大人も一緒。小学5年生でも会社員でも警察官でも知っておくべきことは同じです。ネットは良くも悪くも使い手次第、特別なモノではなくただの道具ですからね」

 確かに、大人も過去にあまたの失敗をやらかしている。企業も自治体も省庁も、炎上したり、情報が流出したときの対処法は知っておくべきだろう。

「とかくネットは悪者扱いされがちですが、犯罪を犯すのはネットではなく人間です。『ネットリテラシー』や『情報モラル』と言われますが、リテラシーもモラルもネットの世界に限ったことではないですよね。ネットと日常生活を分けて考えるから、誤解が生まれるんです。日常生活でやらないことはネットでもやらない。これが基本なんですよ」

 それでも起きてしまうトラブルの対処法を数多く紹介。

 例えば、アカウントが乗っ取られたときは、すぐにパスワードを変更することが急務。そして友人に向け、「乗っ取りのお知らせ」を掲載するといい。

 しつこい迷惑メールはグーグルの「Gメール」を利用するのがオススメだ。というのも、Gメールの迷惑メール除去フィルターは強力で怪しいメールを片っ端から消してくれる。

 使い方は簡単で、携帯に着信するメールをすべてGメールに転送設定をしておくだけ。

 Gメールに転送された瞬間、迷惑メールは瞬殺されるというわけだ。

 いつ我が身に降りかかるともしれないSNSの炎上対処法は実にシンプルだ。

「自分の投稿を削除してしまう人が多いのですが、NGです。削除すればかえってコピーが一気に広がり、炎上が拡大するだけ。文章の上に取り消し線を引いて、訂正や補足するのが正解。その際、言い訳や反論は絶対にしないことです」

 もはや心理戦でもある。結局ネットの中も人間の所業だということなのだ。ただし子供の場合は、将来に影響する危険性も大きい。だからこそ、全国の学校で講演行脚を敢行する意義があるという。

「3~4年前と今では意識も感覚もすでに変わってきています。代替わりは始まっているんです。ネットはただの道具だけど、使い方次第ではまさにブルーオーシャンです。昔に比べたら、権威、資本、時間、場所に制約がなくなり、すべての人にチャンスがある。そんな面白い時代なんだよ、と今の子供たちに伝えていきたいですね。それがネット以前を知る僕の世代の役割だと思っています」(晶文社 1300円+税)

▽おぎそ・けん 1973年、埼玉県生まれ。利用者数3500万人のモバイルソーシャルゲームを提供するグリー株式会社で、ネットパトロール統括を担当。12年からはネットの安全利用を促進する「安心・安全チーム」マネジャーとして、全国の小中学校・高校で無料講演を行っている。講演は年間300回以上、小笠原諸島以外ほぼすべての都道府県を行脚。

【連載】著者インタビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議