「騎手の誇り」本城雅人著
若手騎手として実績を積んできた和輝は、それまで世話になった厩舎を辞めて、名門の塚本厩舎に移籍する。
塚本厩舎は、12年前、和輝が小学生のときに落馬事故で亡くなった父親の忍が在籍していた厩舎だった。事故の日、塚本厩舎のセカンドジョッキーだった忍は、騎乗予定だったリーディングジョッキーの平賀に代わって1番人気の馬に乗ったが、ゴール直前に転倒してしまったのだ。葬式後、和輝は平賀が故障するのを知っていて忍を乗せたという関係者の会話を耳にした。父が本当は平賀に殺されたのではないかと疑う和輝は、その真相を確かめようと、今も塚本厩舎に在籍する平賀に近づく。
競馬界を舞台に描く長編ミステリー。
(新潮社 590円+税)