頭と心を癒してくれる昆虫ワールド
「ゆるふわ昆虫図鑑」じゅえき太郎著
書名に昆虫図鑑とあるが、登場するのはカブトムシやアリ、ハチ、バッタなど、ありふれた虫ばかり。それどころか、それぞれの虫についての解説も何も載っていない。
実は本書は、擬人化された虫たちを主人公に、彼らの日常を面白おかしく描いたコミックなのだ。
例えば、口数の少ない努力家のオオクワガタは、ライバルのカブトムシに「この夏はぜってー、負けねーぞ!!」と熱い思いを胸に秘めて、日々トレーニングに励む。そんなある日、サナギの状態のカブトムシと遭遇。オオクワガタに気づいたカブトムシは焦りを募らせるが、オオクワガタは「サナギに手をだすほど、オレはヤボじゃない」と見て見ぬふりをして通り過ぎる――といった具合に著者独自の昆虫ワールドを、いわゆるヘタウマ系コミックで描く。
「情報操作」と題がつけられた4コマは、コオロギが池のオタマジャクシたちを集め、「コオロギには毒があります。絶対食べてはいけません」と、彼らがカエルに成長した時に備え、洗脳しようとする姿が描かれる。
恋人の父親に「娘さんをください」と結婚の承諾を求めるオンブバッタに、トウサンバッタが一言「うん。そーいうのは、娘からおりて言いなさい」。