「世界を変えた暦の歴史」谷岡一郎著
暦が人類の社会誕生のプロセスに果たした役割を解説した歴史読み物。
暦登場以前、人々はまず月のサイクルに注目。月の変化が潮の満ち引きなどに関連していることが分かり、食物の採集や漁などのリズムを変えていった。やがて月が約12回満ち欠けを繰り返すくらいのサイクルで太陽の昇る位置が変化し、季節が変わることにも気がつく。定住化が進み、農業が始まると、さらにそのサイクルに敏感になっていった。およそ5000年前の古代エジプトでは、既に1年を「365日と4分の1」して、それが農業の発展に大きく寄与したという。
天文学によってその基礎が構築された集団生活が、暦の出現によって社会へと変化し、社会の発展がより正確な暦を生み出していく過程を詳述。(PHP研究所 680円+税)