「俳句は入門できる」長嶋有著

公開日: 更新日:

 著者は「俳句は打球、句会が野球」という。つまり俳句は、素振りを繰り返す野球選手のように、1人でもできる仕組みを備えている。同時に句会で他者の作品を批評し、語り合うなど、他者ともできる仕組みも持つ。1人で新聞の投稿欄などに投句し続けるのは打球の精度を競うことにすぎず、そこには野球の醍醐味(だいごみ)はないともいう。本書は小説家として活躍する一方で、24年間、俳句活動を続け、テレビで選者なども務める著者が、俳句界の特殊な空気や独自のルール、雰囲気、そして魅力をつづった俳句エッセー。

 季語でもある凧(たこ)揚げを体験する句会や、俳句仲間と旅行中に豪雨で被災した中でも生まれる俳句など、縦横無尽の語り口から俳句への愛とその面白さが伝わってくる。

(朝日新聞出版 790円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方