「喋る男」樋口卓治著
日堂テレビのアナウンサー・安道は、仕事への情熱と技術では誰にも負けぬが、その自負が災いして窓際族に。クレーム対応とスクールの講師しか任されず、もう何年もアナウンサーの仕事はやっていない。
そんなある日、安道は上司の稲垣から、退社をほのめかしている局の看板女子アナ・萌香を引き留めるよう頼まれる。新人時代に萌香を指導したのは安道だった。安道は、呼び出した萌香から局の買収話が進んでいると聞く。萌香は局のスポンサー企業の令嬢なのだ。数カ月後、買収が発表され、安道はAI開発局へ異動を命じられてしまう。
斜陽のテレビ業界で活路を見いだすベテランアナウンサーの生きざまを描くエンターテインメント。
(講談社 600円+税)