「生きるために本当に大切なこと」渡辺憲司著

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 東日本大震災と原発事故が発生した10年前、私立高校の校長だった著者は、卒業式が中止になった卒業生にメッセージを送った。

「時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ」と説く、「時に海を見よ」と題された一文は、世代を超え、人々を励ました。本書は、教育現場の第一線に立ち続けてきた著者が、折々に学生たちに向けて発したメッセージ集。

 昨春のコロナ休校の際には、感染症で最も恐ろしいのは「病に対する人々の差別と偏見」という感染症学者の発言を紹介しながら、「不安が広がる今だからこそ人のやさしさが問われている」とつづるなど、災害とコロナ禍に戸惑う日本人に生きる指針を示してくれる。

(KADOKAWA 700円+税)

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