「ときめく カエル図鑑」高山ビッキ文 松橋利光写真 桑原一司監修
そのユニークな姿形に親近感を覚えるからか、縄文土器にもその姿が描かれ、多くの童話や絵本などにも登場するカエル。
都会暮らしではお目にかかる機会も少なくなってしまったが、カエルは昔から人間にとって身近で馴染みのある生き物で、最近では飼ったり、グッズを集めたりする「カエラー」さんたちが増えているそうだ。そんなカエルの魅力をたっぷりと紹介してくれる図鑑。
キリスト教では邪悪で不浄な存在とされるカエルだが、一方で「ハッピーフロッグ」といわれ、縁起物にもなっている。日本でも「お金がかえる」「よみがえる」などの縁起の良い語呂合わせに使われることがある。そもそもカエルという名には、どこに行っても、もと居た場所に帰る「帰巣性」や、冬に姿を消しても春になると蘇る「蘇生性」からきているそうだ。
そうした人間とカエルの関係をさまざまな視点から考察した上で、いよいよ世界のカエルが登場。トップバッターのコバルトブルーに輝く「コバルトヤドクガエル」やミッドナイトブルーの体に黄色と黄緑色のラインが入った「ソメワケヤドクガエル」など、ビビッドカラーのカエルたちを見ただけで、それまで抱いていたイメージが一新するに違いない。
他にも、背中側が青みがかったピーコックグリーン、お腹側はピンクのツートンカラーで、つぶらな黒い瞳に赤いアイラインがおしゃれな「ボリビアネコメガエル」など色とりどりの「きれい」なカエルたちから、「アースカラー」、見かけは独特だけれどチャーミングな「きもかわ」、びっくり技を繰り出す「びっくり」、そして身近な「日本のカエル」まで、5つのカテゴリーで87種を網羅。
一読すれば、あなたも「カエラー」に仲間入りをしたくなるはず。
(山と溪谷社 1100円)