「山の帰り道」沢野ひとし著

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 山登りだけは飽きることなく続けてきたという人気イラストレーターによる山エッセー。

 ひと昔前まで、素人には無理だといわれていた南アルプスだが、三伏峠小屋ができてからは登山者も増えた。ある日、妻と共にその日本一高い峠・三伏峠の登山小屋を目指す。膝が悪くなり、おまけに太ったせいで、足元がおぼつかない。妻は先に行き、9合目まで来て休んでいると、息子が不意に現れ、ザックをかついで歩き出した。夫婦は小屋でアルバイトをする息子に会いに来たのだった。(「峠のカレー」)

 その他、亡兄に連れられ50年前に初めて登った丹沢の山など、さらに町田市の郊外、多摩丘陵で暮らす日々の点景まで。過去と現在を行きつ戻りつ、つづられる味わい深い文章が心にしみる。

(KADOKAWA 770円)

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