「リスクを考える」吉川肇子著
私たちの日常は、災害や事故、病気、食品などに関する多くのリスクにあふれている。そもそもリスクとはどういったもので、どう向き合うべきなのか。そして、新たに登場するリスクについて、情報を的確に伝え、社会全体でリスクを減らすにはどうすればよいのか。「リスク・コミュニケーション」の視点から考察したテキスト。
リスク・コミュニケーションというと、私たちは情報を受け取るだけの立場と考えがちだが、より安全な社会にするためには議論が不可欠で、情報公開と透明性にもとづく開かれた議論によってはじめてリスクは的確に理解されるという。専門家任せでリスク対策が手遅れになった英国のBSE(狂牛病)問題など、多くの事案を例に、リスクとともに生きていく社会の在り方を提示する。 (筑摩書房 946円)