「過剰可視化社会」與那覇潤著

公開日: 更新日:

 日本のコロナ禍を長期化させ、危機を深刻化させた背景には、2010年代以降に本格化した「過剰可視化社会」の弊害があると著者は言う。親しい関係でもない人の「政治的な意見や信条」や「抱えている病気や障害」など個人の内奥に秘匿されてきたはずの情報が、SNSのプロフィル欄でわかってしまう。コロナ禍ではマスクを着け「見えるように」防疫への協力を表さなければ社会から排除され、そうした風潮に誰もが違和感を持たないという事態が続いた。可視化に慣れ過ぎた私たちは、「見せる」ことに伴う副作用の存在を忘れ、「見えない」ものが持つ価値を感じ取れなくなっていると指摘する。

 こうした「過剰可視化社会」に至った背景を読み解き、その問題点と対策を提示する社会論。

(PHP研究所 1056円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  2. 2

    反撃の中居正広氏に「まずやるべきこと」を指摘し共感呼ぶ…発信者の鈴木エイト氏に聞いた

  3. 3

    松本潤、櫻井翔、相葉雅紀が7月期ドラマに揃って登場「嵐」解散ライブの勢い借りて視聴率上積みへ

  4. 4

    遠山景織子 元光GENJI山本淳一との入籍・出産騒動と破局

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    だから高市早苗は嫌われる…石破自民に「減税しないのはアホ」と皮肉批判で“後ろから撃つ女”の本領発揮

  2. 7

    中居正広氏vsフジテレビは法廷闘争で当事者が対峙の可能性も…紀藤正樹弁護士に聞いた

  3. 8

    ユニクロ女子陸上競技部の要職に就任 青学大・原晋監督が日刊ゲンダイに語った「野望」

  4. 9

    吉岡里帆&小芝風花の電撃移籍で様変わりした芸能プロ事情…若手女優を引きつける“お金”以外の魅力

  5. 10

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及