「わるい平安貴族」繁田信一著
「わるい平安貴族」繁田信一著
「きらびやか」で「みやび」なイメージがある平安貴族だが、彼らは一方で悪事にも手を染めていたという。それどころか、あの優雅な生活は、さまざまな悪事に支えられていたと言っていいらしい。そんな平安貴族たちの悪事の数々を暴く事件簿。
あの「枕草子」の作者、清少納言の実兄・前大宰少監清原致信もそのひとり。寛仁元(1017)年のある日、平安京の家宅にいた致信は、多くの武士とその随兵に襲われ、平安貴族らしからぬ最期を迎える。殺されたのには理由があり、犯人も平安貴族で、以前に致信が犯した殺人のあだ討ちだったという。さらに驚くことに、致信に殺人を指示したのは和泉式部の夫だったそうだ。
当時の文献を読み解きながら、平安貴族たちの知られざる素顔を明らかにする歴史読み物。
(PHP研究所 924円)