(12)三味線の手入れの間 赤子を預け
私が抱いていようかと、そう聞かれた。
何をと一瞬頭を巡らせたが、そんなもの己の腕の中にいる赤子しかない。
稽古をつけに次の家へと向かう道中、三味線の糸が切れているのに気づき、近くの茶屋の床几を借りて必死に掛け直している最中のことであった。声の主を見上げてみれば、…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,223文字/全文1,363文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】