「すたこらさっさっさ」松宮宏著
「すたこらさっさっさ」松宮宏著
天上では、紀伊國屋書店の創業者・田辺茂一ら、今は亡き大阪ゆかりの著名人が集まり話し合っている。田辺は、自分が残した梅田本店で働く店員の彩が気になって仕方がない。彩こそは田辺が、人の幸せを助ける存在であって欲しいと祈りを込めて現世に残した「しるし」の座敷わらしだった。
その日、彩は店の前のビッグマン広場を通る亡き母の姿を見つけ追いかけるが、見失ってしまう。彩が母と見間違えた女性は、実は彼女の父親で設計事務所を営む和彦の顧客で、祇園のお茶屋「松丸」の女将・佳代だった。松丸の改装を請け負った和彦は、地下に半世紀前の工事で造られた秘密の地下室があることを知る。
大阪万博後、行方不明になった「地底の太陽」をめぐり、実在の人物や場所を織り交ぜながら展開する長編小説。 (徳間書店 1100円)